昔の話 

{蚊帳の話}
昔々終戦後の話。
(ご主人は戦死 家は戦災で焼失、子供3人連れたAさん)が近所に越して来ました。
それも、知人の離れに居候で。
ある日「蚊帳を買ってほしい」と言われ、私達も戦災で家を焼かれ借家住まい。
勿論蚊帳もないので母は、喜んで買いました。
所が、その蚊帳は同居させてもらってる家から盗んだ品物。
何も知らない母が蚊帳を干したのを見つけた持ち主が交番に届けて大騒ぎ。

学校から帰宅した私が母に話しを聞き終わった時、
警官が来て「で、その蚊帳は何処に・・」
家の玄関に置いてた蚊帳がないのです。我が家は家捜しされました。
何処にもない。盗品がないので事件にならず、落着。

その蚊帳は母が漬物樽に隠したんです母曰く「盗みは悪い事や。
でも事件になったら3人の子供はどうするの」母の咄嗟の才覚。
その時は割り切れない気持ちでしたが
今思えば人情あり勇気もいる決断だったと思います。


{血ぃ吸う魚}
昔仲良し8人での海外旅行(ハワイ)した時。
ワイキキで8人並んで夕陽を見ていたら、ハンサムな青年が近づいてきて、
端に座ってたSさんにビンの中味を「シ−・スル−・フィッシュ」と説明しました。
骨だけが泳いでいる感じ。私も「シ−・スル−・フィッシュ」と言って
隣に廻し、全員が順番に見て「珍しい魚やね」と浜辺を引き上げました。
あとで6人が「あの魚 人の血吸うの ? 」
Sさんと私「?・・・」シ−スル−が(血ぃ吸ぅ)魚に。 今でも爆笑です。


{健康優良児の弟}
小学6年間・中学3年間皆勤。高校3年の冬風邪の症状。
後3ヶ月で6・3・3皆勤なので、早い目に病院へ行ったのに。遅くに帰宅。
「最後になっても診察室へ呼ばれなかったので帰ってきた」よく聞くと、
受け付けに申し出る事を知らず待合室で座って待ってたそうです。
翌日は治って学校へ。63312年間 オ−ル皆勤でした。


{千人針の話}
太平洋戦争末期 殆どの男性に召集令状。
近所の新婚間もない家にも召集令状がきました。
妊婦の奥さんは街角に立ち、道行く人に千人針を頼んでられました。
千人針とは(服巻に千人の人が1人1つ赤糸で印。兵士の無事を祈願)

長時間立ってたらお腹の赤ちゃんに悪いと、母は、千人針を引き受け持ち帰り、
知人の家を廻って歩きましが、2割程残ってしまい、
その分は、母と私が夜なべで作り、出征前にやっと完成。
ご主人は、千人針の服巻を身につけ戦地へ。
少女の私は、ごまかした事に胸を痛め、戦死されたら私達の責任かと。
母は「あれは迷信。千人針つけてても、死ぬ時は死ぬ。大丈夫」と。
ちなみに その方は戦後無事帰還されました。そんな母に似ず、私は小心者です。








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